LaLa2021年5月号(3月24日発売)の『ミミズクと夜の王』第6話!
この記事では最新話のネタバレと考察・感想を紹介しています。
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ミミズクと夜の王【第6話】のあらすじ・ネタバレ
魔王討伐へ
聖騎士は、王の部屋の扉を乱暴に開けた。
「騎士の礼儀はどこへ行った」
静かに咎める王に、聖騎士はあの星の彼方かな、などと軽口を叩きながら椅子にドサッと腰かけた。
「ったくやり方が姑息だよ」
何のことだ、ととぼける王に、聖騎士はするどく問い詰める。
「魔王討伐の準備は順調に進んでいるようじゃないか」
聖騎士は、居酒屋で魔王討伐の噂を聞いたのだった。
居酒屋の女将の話によると、夜の森に迷い込んだ狩人が、森の奥で女の子に助けられて帰ってこられたのだ、と言う。
女の子はガリガリに痩せており、両手両足に鎖をつけられていた。居酒屋で話に入ってきた客たちは、魔王に捕まっているに違いないと言う。
「それどれくらい信憑性ある?」
不信に思った聖騎士は、客に聞く。客は、その狩人は事の次第を伝えに神殿に走ったというから本当だろうと答えた。
神殿から自分に情報が入る前に、噂が広がりすぎていると聖騎士は感じた。誰かが煽っている?何のために?考えた聖騎士は、ある結論に達した。
(まさか…あの白ダヌキ)
聖騎士は女将にごちそうさま、と礼を言って立ち上がった。
「……聖騎士様 出来ることならその子を助けてやっておくれねぇ」
捕まっている女の子を不憫に思ったのだろう、女将はそう聖騎士に願った。
聖騎士はそれに返事をせず、ただにこりと微笑んで居酒屋を出た。
―――
「城下町の人々の思いは魔王討伐へと傾いている」
腕組みをし、険しい表情で聖騎士は続ける。
「今までさしたる実害のなかった魔王が 子供達の脅威になりつつある」
何より、王家直属の魔術師団の準備は整いつつあるという話だねと王に語りかける。
「そうだ あとは討伐の先陣を切る聖騎士の号令だけだ」
王は先ほどまで手にしていたペンを置き、聖騎士をまっすぐ見据えた。
「お前は どうする」
聖騎士はそれに答えず、魔王討伐の本当の目的を問うた。王はただ、この国と民のためだと答える。
(わかっていたさ)
まだこの国には、足りないものがある。魔王を陥落すればそれが手に入るのだ。
他国に侵略されかけていたこの国を一代で立て直した優秀な王、彼は聖騎士にとって父のような友人のような存在である。しかし、聖騎士は彼のためを思って剣を振るうことはない。それを握るときは、何ものかの命が消える時なのだから。
「ま こうなってしまったらね 僕も行くよ」「奥方に怒られちゃったしね」
聖騎士はいつもの明るさを身にまとって椅子から立ち上がった。
「『苦しんでいる少女一人救えないなら聖騎士なんて お辞めになったら?』だってさ」
そう言う聖騎士に、王はそう、そうだと顔を上げた。
「オリエッタも隊に加わるが良い」
聖剣の乙女が加わるならば、何よりも魔術師団の士気を上げるだろう。
「神殿で養われた魔力を――」
「あのねぇ国王」
聖騎士は王の言葉を遮る。聖騎士はどう使おうと君の勝手だ、としながら、
「この先オリエッタを戦に出すようであれば 俺は聖剣を捨て彼女を連れてこの国を出る」
聖騎士はにこりともせず、真っすぐ王を見据えて言った。
「…王を脅すか」
そう言われた聖騎士ははじめてにっこりと微笑み、正直者なだけさと答えた。
クロの昔話
フクロウの屋敷で眠っていたミミズクは、クロが呼ぶ声で目を覚ました。
屋敷に来るのはめずらしいね、というミミズクに、クロはミミズクに話があって来たのだと答える。
クロはこれから数日、長くて一カ月ほど王の命でしばし森を離れて人の世界をめぐる。その間ミミズクがクロを呼んでも、クロの耳には届かないだろう。
「であるからお主も自分のことは自分でするのだ 出来るな?」
クロに言われ、ミミズクは「はぁーい!」と元気に答えた。
「んでも夜の王のメイって何ー?」
無邪気にクロに尋ねるミミズク。クロは少し黙って、言えぬと答えた。
「時にミミズクよ ワタシが森を出る前に一つ昔話をしてやろう」
「してもらうー」
クロは手に魔法の炎を出した。その中には、城の絵が見える。庭にその魔法で絵を出しながら、クロは語り始めた。
「人の肌の色さえ変わるほど北へ向かった先に 小さな小さな王国があった」
近くの山脈では美しい鉱物が眠っており、人々はそれを用いて巨万の富を築いた。人々は、王家は豊かだった。山の富を全て取りつくすまでは。
鉱物は絶えてしまった。しかし、残り少ない資源をめぐって国中で争いが起こった。そんな中、残った鉱物を王家の者は力づくで奪い取ってしまったのだった。
美しすぎるフクロウへ
「さて 王家には一人の王子がいた」
鉱物がふつりと消え始めたころに生まれた王子だった。それ故、王子は人々の非難を一新に背負うことになり、生まれながらにして迫害の憂き目にあった。自分を産んだ王妃も王も、彼のことを愛しはしなかった。
ミミズクはクロの話を聞きながら、愛するってどんなだろと考えていた。
クロの話は続く。しかし生きることをやめようとしなかった王子は、彼にとって美しすぎるその国の景色を形に留めようとするために筆をとった。絵を描き始めたのだった。
「あ」
やがて国には革命が起き、王城へは火が放たれた。離れに住まわされていた王子も引きずり出され、描いていた絵は道楽の権化であるとして町の広場で焼かれてしまった。
「彼にはもう 絵を描くことしか 残っていなかったのに」
王子は処刑の日まで塔に幽閉されたが、それでも絵を描き続けた。絵具も筆もない状況で、王子は自分の指を噛みちぎり、そこから滲む血で壁に絵を描き続けた。
人の醜さばかりを見続けた王子は、赤よりも赤いその絵を魂を削って描き続けた。その絵の壮絶なまでの美しさ、そこに込められた魔力に呼び寄せられてクロはそこを訪れた。人でありながらのその心、その魔力。クロは問うた。
「まだ生きたいか 人をやめることを厭わないか…と」
王子は是と答えた。
(そうだろう それは だってそうだろう)
ちょうど夜の森では王の代替わりが始まっていた。先代の王が選べばどんな者でも王になれる。
クロは王子に森へ行け、王に会えと言った。そうして王は、彼の者を王に選んだ。世界はそうして王を選んだのだった。
「ワタシの昔話はこれで仕舞いだ」
最後まで黙って聞いていたミミズクは、クロがどうして自分にそんな話をしたのかわからなかった。
語り終えたクロは、ミミズクに運命が許せばまた会おうと言い残して森を旅立っていった。
一人残されたミミズクは、自分が涙を流していることに気が付いた。
(なんだろ これ びょーきかな)
初めてじゃないけど、覚えもない。汗みたいなものかと涙をぬぐい、屋敷の外に出た。外には、森の木々の間から日の光が降り注いでいた。
(美しいものを集めよう ミミズクにとって 美しすぎるフクロウのために)
ミミズクは、森に向かって走り出した。
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ミミズクと夜の王【第6話】の考察・感想
フクロウは元人間だったんですね。
人間は醜い、と繰り返し言っていた理由が明かされました。生まれながらにして迫害されていた、というのが辛すぎます…。
夜の王と呼ばれるような魔物が絵を描いている、というのが今まであんまりなかったというか、不思議な感じだなと思っていたのですが、人間だったときにひたすら絵を描き続けていたんですね。
ここまでを振り返ったら、フクロウ(夜の王)は特に人間に対して積極的に害をなすような描写はなかったですよね。クロが森の外へ何をしに行ったのかは気になりますが…。
気になるといえば、王の企みも気になります。
フクロウは、また迫害されることになるのでしょうか。
まとめ
以上、『ミミズクと夜の王』第6話のネタバレと考察・感想をお届けしました。
次回の『ミミズクと夜の王』第7話は、LaLa6月号(4月24日発売)にて掲載予定です。
次回のネタバレ・感想の記事もお楽しみに!